江雪正宗
『享保名物帳』焼失之部所載、相州正宗の刀です。「江雪左文字」と同じく、岡野江雪斎の旧蔵です。江雪斎が直接、徳川家康に献上したものでしょう。家康はこれを帯びて、関ヶ原・大坂の両役に出陣しました。寛永九年(一六三二)正月二十三日、二代将軍秀忠は臨終にのぞみ、これを三代将軍家光に譲りました。明暦三年(一六五七)の江戸城炎上のさい焼失しました。
刃長二尺六寸三分(約七九・七センチ)。「正宗」と在銘。ただし、「宗」の字が普通と違っていた。すると、偽銘だったのか、あるいは尾州赤池での銘だったのか、本阿弥家で折紙をつけなかったのも、そのためであろう。
参考文献:日本刀大百科事典