日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】幸寿丸

幸寿丸

摂津国河辺郡多田庄、現在の兵庫県宝塚市石切山麓満願寺蔵の宝刀です。幸寿丸は新歌舞伎十八番の『仲光』、つまり『二代源氏誉身替』(河竹黙阿弥作)に出てくる藤原仲光の子です。多田満仲は八男・美女丸を仲山寺に入れたが、仏道修行をしないので怒り、家来の藤原仲光に殺害を命じました。仲光は美女丸を比叡山に逃がし、自分の子・幸寿丸の首を討って、満仲に差し出しました。それを知って美女丸は発憤、ついに源賢阿闍梨、つまり多田法眼という有名な歌僧になったといいます。満願寺は源賢の開基であるから、幸寿丸の佩刀を所蔵しています。

刀は刃長一尺八寸一分(約五四・九センチ)の小太刀で、毛抜形の太刀拵えがついている。

参考文献:日本刀大百科事典