日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】岐阜国吉

岐阜国吉

享保名物帳』焼失之部所載の名物、粟田口国吉の短刀です。初め浅野長政が所持していて、本阿弥光徳が五百貫の折紙をつけました。それを関白秀次に献上、秀次はそれを豊臣秀吉に贈りました。秀吉はそれを岐阜城主で、信長の嫡孫にあたる織田秀信に与えました。秀信は関ヶ原の役で石田方に加担しました。しかし敗軍となったので、城を出て徳川家康に降りました。そのとき、これを家康に献上しました。信長の嫡孫というので助命され、高野山に遁れました。秀信は岐阜中納言とよばれていたので、「岐阜国吉」という号はそれから採ったものです。

刃長八寸二分(約二四・九センチ)、または八寸二分五厘(約二五・〇センチ)、差し表に剣、裏に護摩客を彫る。明暦三年(一六五七)の江戸城炎上で焼けたが、焼け身は明治になるまで将軍家に保管されていた。現在は所在不明。

参考文献:日本刀大百科事典