日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】足利飯塚藤四郎

足利飯塚藤四郎

享保名物帳』焼失之部に記載されています。駿河大納言忠長の家来に、飯塚半次郎忠重という者がいました。それがこの短刀を愛蔵していて、いつも枕の下に入れていました。本刀を忠長が召し上げて、寛永二年(一六二五)二月五日、前将軍秀忠が忠長の邸に臨んだとき、本刀を献上しました。

忠重の父・兵部少輔綱重は、もと下野国佐野城主・佐野家の重臣でした。佐野家滅亡後、佐竹家に仕え、さらに徳川家康の麾下に転じたが、足利に居住した事実はありません。したがって刀号に足利を冠するのは誤りで、「佐野飯塚藤四郎」と呼ぶべきです。

刃長九寸三分(約二八・二センチ)。ただし『名物控』には九寸三分五厘(約二八・三 センチ)とし、「御城ノ帳第四番、七一ノ箱也」とある。三千貫の折紙付きだったので、一ノ箱に入れてあったが、明暦(一六五五)の大火で焼けてしまった。『名物帳』には「中心先切」と付記した写本もある。

参考文献:日本刀大百科事典