日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】寺沢貞宗

寺沢貞宗

享保名物帳』所載、相州貞宗作の脇差です。本阿弥祐徳(光徳の二従兄弟)の家来が京都の木の下(上京区)で、金二枚で買ってきたものを本阿弥光徳が相州貞宗に極め、三百貫の折紙をつけました。本刀を肥前唐津城主・寺沢志摩守広高が金二十枚でもとめ、豊臣秀吉に献上しました。秀吉は本刀を織田有楽斎に与えましたが、本阿弥光徳に売ってしまいました。

本刀を寺沢広高が七百貫で再び買いとり、二代将軍秀忠に献上しました。そのとき八百枚の折紙でした。秀忠が寛永二年(一六二五)に薨去すると、この形見として同年二月二十六日、紀州徳川頼宣に贈られ、以後、同家に伝来しました。昭和八、九年ごろ同家を出て、同十三年に国宝認定されました。

刃長は九寸七分(約二九・四センチ)とも、九寸八分(約二九・七センチ)ともいうが、九寸七分四厘(約二九・四五センチ)が正しい。平造り、真の棟。差し表に爪形付きの剣、裏に二筋樋をかく。地鉄は杢目に板目まじり、地沸えつく。刃文は浅い彎れに、ところどころ五の目乱れまじり、小沸え出来。鋩子小丸。中心はうぶ。目釘孔二個。鑢目は浅い勝手下がり。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「寺沢貞宗

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