日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】蜂屋長光

蜂屋長光

享保名物帳』所載、備前長光作の小太刀です。もと蜂屋某というあぶれ者所持といいます。豊臣秀吉時代というから、蜂屋大膳大夫・その子五郎助・市左衛門らのうちの誰かでしょう。秀吉はこれを一時、枕刀にしていたが、のち側室の松丸殿へ与えました。松丸殿からその弟・ 高知の養子である主膳高通へ伝わりました。 高通は丹後峰山城主で、寛永八年(一六三一)から、同十四年(一六三七)までの間に、本阿弥家にやって、金二十枚の折紙をつけました。高通は本刀を、宇都宮城主・奥平忠昌へ譲りました。貞享三年(一六八六)、その孫の昌章のとき、本阿弥家にやり、折紙が金三十枚に上がりました。以後、奥平家に伝来、昭和九年、旧国宝に指定、戦後は同家を出て、重要文化財に指定されました。

刃長一尺八寸六分(約五六・四センチ)、または一尺八寸五分五厘(約五六・二センチ)、表裏に丸留めの樋をかく。表の樋の中には、刃区より一寸(約三センチ)ほど上に、埋め金がある。地鉄は小板目肌つまり、地沸えつく。刃文は匂い出来の五の目乱れで、上に行くに従い寂しくなる。もと猪首切先だったが、横手を下げたため、現在は切先延び、鋩子も横手より上で刃幅が狭くなり、小丸わずかに返る。中心は先を少し切り、目釘孔二個。佩き表に「長光」と二字銘がある。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「蜂屋長光

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