日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】朱判貞宗

朱判貞宗

享保名物帳』所載、相州貞宗極めの脇差です。もと本阿弥光利所持でした。本阿弥光甫の言によれば、その後、土井大炊頭に売りました。土井家では本刀を将軍に献上しました。将軍秀忠は寛永九年(一六三二)以前に、本刀を前田利常に与えました。同家では延宝八年(一六八〇)、本阿弥家にやって二百五十枚(五千貫)の折紙をつけました。その後、文化九年(一八一二)三月、本阿弥長根は江戸の前田邸において、本刀の手入れをしています。昭和十年重要美術品指定、戦後、前田家を出ました。現在重要文化財に指定されています。

刃長一尺一寸(約三・三センチ)とする説は誤り。実長は一尺一寸一分五厘(約三三・八センチ)、または一尺一寸二分(約三・九センチ)。二筋樋を中心先までかき通す。大板目肌立ち、沸えのよくついた地鉄に、浅い彎れ調の直刃をやく。鋩子小丸。中心はうぶ、目釘孔三個、一個は鉛埋め。朱銘が差し表に「貞宗」、裏に「本阿(花押)」とある。本阿弥光室の極めである。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「朱判貞宗

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