桑山志津
『享保名物帳』所載の美濃国志津兼氏の刀です。もと大和において二万六千余石を領していた桑山伊賀守元晴の所蔵でした。同家は二代目貞晴が寛永六年(一六二九)早死にしたとき、嗣子がなかったので、封地を没収されました。それで遺族がこれを売りに出したのを、幕府の重臣・酒井忠世が買ったのでしょう。『享保名物帳』 編集のころは、忠世の子孫である播州姫路の酒井家にありました。これには慶安三年(一六五〇)、千五百貫の折紙がついていました。その後の消息は不詳です。
刃長二尺三寸五分(約七一・二センチ)、磨り上げ物という以外は不明。
参考文献:日本刀大百科事典