日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】鷹の巣宗近

鷹の巣宗近

享保名物帳』所載、三条宗近作の脇差です。 大木の上に光を放つものがあるので、登ってみたところ、鷹の巣の中にこの刀がありました。鷹の子を取ったあとに、刃物を入れておくことがあったからです。それは豊臣秀吉のころだったので、本阿弥光徳がみて、正真と極めたとも、その父・光刹が極めたともいいます。

秀吉の九州征伐で降服した島津義久が、天正十五年(一五八七)五月八日、水引の太平寺で、秀吉に謁したとき、秀吉はおのれの佩刀、つまり包平の太刀と本刀を、義久に与えました。のち義久は本刀を家久に与え、家久は寛永十四年(一六三九)二月、病の篤きを知って、嗣子・光久へ本刀を譲りました。以後、島津家に伝来していましたが、今次大戦の戦火で焼失しました。

刃長については一尺四寸(約四二・四センチ)、一尺四寸四分(約四三・六センチ)、一尺四寸九分(約四五・二センチ)ともいうが、一尺五寸三分(約四六・四センチ)が正しい。菖蒲造りともいうが、平造りが正しい。刀樋に添え樋をかき流す。刃文は直刃。目釘孔は三個とも四個とも。中心先に「三条」と二字銘。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「鷹の巣宗近」

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