日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

【刀剣紹介】小松正宗

小松正宗

享保名物帳』所載、相州正宗の短刀です。前田家三代利常が正宗とみて購入、本阿弥光甫に見せたところ、それに同意したので本阿弥本家の鑑定に出しました。本家では延寿国資との鑑定でしたので、折紙をつけず、小堀遠州に金粉でただ「無銘」とばかり鞘書きさせました。しばらくして本阿弥家にやったところ、今度は相州行光という鑑定でした。そのため折紙はつけませんでした。延宝九年(一六八一)六月、三度目の鑑定に出したところ、ようやく相州正宗に極まり七百枚の折紙がつきました。利常の没後二十三年にしてようやく利常の鑑定通りになったため、利常を小松中納言と呼んでいたのに因んで小松正宗と名付けました。以後、前田本家に伝来し文化元年(一八〇四)九月に本阿弥長根がお手入れした記録があります。

刃長は九寸七分五厘(約二九・五センチ)で平造り、表裏に刀樋と連れ樋をかく。板目肌、地沸えのついた地鉄に、腰開きの五の目乱れをやく。中心は無銘。

参考文献:日本刀大百科事典

写真:刀剣名物帳「小松正宗」

f:id:seiya3939:20171030175139j:plain