【刀剣紹介】秋田了戒
日本の美、日本刀
まだ腰に刀を差していた時代、日本刀は自分の身を守るためだけではなく拵えの装いや粋な刀装具を周囲に見せ、その刀を差す武士の品格を表していました。また、現代のように自身を彩るものは多くなく、腰に差す刀剣でその人のお洒落さをも表していたといいます。そんな千差万別ある日本刀を紹介していきます。
秋田了戒
『享保名物帳』所載です。常陸国宍戸城主・下国実季ははじめ安東太郎、慶長十年(一六〇五)より秋田城ノ介と改めました。もと、この方の所持だったのを加賀藩主・前田利常が買い取りました。折り紙ははじめ五百貫、寛文三年(一六六三)二十五枚に改められました。爾来前田家に伝来しました。昭和八年に国宝指定、戦後同家を出て重要文化財となりました。
刃長九寸(約二七・三センチ)、鵜の首造り、薙刀樋に添え樋をかく。地鉄は板目肌、刃寄り柾目まじる。刃文は直刃。目釘孔二つ。「了戒」と二字銘。拵えの金具は後藤喜乗作の揃い、古鞘には古堀遠州筆の金泥で「秋田了戒」とある。
参考文献:日本刀大百科事典
写真:刀剣名物帳「秋田了戒」