日本刀の世界 ~日本の様式美~

日本の伝統文化である日本刀の刀工・刀鍛冶、名刀、刀剣書籍など

2018-10-16から1日間の記事一覧

【刀剣紹介】初桜吉光

初桜吉光 周防山口城主・大内家重代の刀、というが、尼子興久の初桜と同物でしょう。吉光の作といいます。その吉光は粟田口吉光のことでしょう。大内義長は弘治三年(一五五七)四月二日、毛利元就に敗れ、長福寺に入って自殺するとき、大内家重代の歌館の茶入…

【刀剣紹介】初桜

初桜 雲州富田城主・尼子経久の三男・宮内大輔興久の佩刀、作者不明です。富田城の桜の間・柳の間に化物が出て人を悩ますので、興久が、退治してくれ、と待ち受けていると、丑三つ時に老婆が二児を連れて現れました。老婆の命で一児が興久の膝もとに来たので…

【刀剣紹介】刃折れ刀

刃折れ刀 薩摩の桐野利秋の差料、相州の清水久義の作です。利秋が明治元年五月、彰義隊との開戦の前日、単身で神田三河町(千代田区)を歩いているところを、彰義隊の鈴木隼人ら数名に襲われた時の差料です。利秋は中村半次郎と変名、薬丸自現流を修めるととも…

【刀剣紹介】蜂屋江

蜂屋江 『享保名物帳』 焼失之部所載、相州正宗作の刀です。もと越前敦賀城主・蜂屋出羽守頼隆所持でした。 豊臣秀次に献上、さらに秀吉から秀頼に伝わり、三之箱に納められました。慶長十六年(一六一一)正月、本阿弥光徳に命じて磨り上げさせ、埋忠寿斎に金…

【刀剣紹介】八幡正宗

八幡正宗 『享保名物帳』焼失之部所載、相州正宗作の短刀です。もと織田信長所持、徳川家康に贈りました。徳川家から、加賀の前田家に与えたとみえ、将軍家光の養女・阿智姫が、寛永十年(一六三三)十二月、前田光高に入興したとき、父の利常が豊後行平の太刀…

【刀剣紹介】拝領貞宗

拝領貞宗 水戸家が元禄(一六八八)年中、将軍家より拝領したものです。 刃長一尺一寸五分(約三五・〇センチ)余。平造り、真の棟。差し表に素剣、裏に護摩箸を彫る。地鉄は小杢目肌、地沸えつき、地景が多い。刃文は小彎れ刃崩れ、鋩子は小丸。中心はうぶ、「…

【刀剣紹介】八町念仏

八町念仏 刀の異名です。雑賀孫市こと鈴木重朝の佩刀です。月の夜、ある者を袈裟斬りにしたところ、八町も念仏を唱えながら行ったあと、倒れたという伝説のある刀です。孫市はのち徳川家康に仕え、水戸の頼房付きとなったので、幕末まで子孫の家に伝来してい…

【刀剣紹介】八樋正宗

八樋正宗 刀の異名、相州正宗の作です。初め織田信定所持でした。それから孫の信長に伝えられ、信長はこれを弟・信行の子・津田信澄に与えました。信澄は明智光秀の女婿だったので、本能寺の変で信長の三男・信孝に殺されました。その後は行方不明です。 参…

【刀剣紹介】八幡の利剣

八幡の利剣 長曽我部元親の陣刀です。真盛の作というが、真守の誤記でしょう。天正三年(一五七五)の春、元親が前夜見た夢の占いを、八幡宮の左近という神主にさせたところ、今年出陣したら、向こうところ敵なしでござろう、と答えました。喜んだ元親は酒宴を…

【刀剣紹介】上り竜信国

上り竜信国 『享保名物帳』追記所載、京の信国の大脇差です。細川忠興が豊臣秀吉に献上したもので、拵え付きの刀を入れる三之箱に入れてありました。そのとき本阿弥光徳は、押形をとっています。慶長十六年(一六一一)四月二日、徳川義直が徳川家康の使者とし…

【刀剣紹介】上り下り竜正宗

上り下り竜正宗 『享保名物帳』焼失の部所載、相州正宗の短刀です。上り竜下り竜正宗・のぼり竜正宗・のぼる竜正宗ともいいます。もと織田信長の蔵刀で、堺の津田宗及は天正八年(一五八〇)二月二十二日、信長の面前でこれを拝見しています。のち豊臣秀吉が入…